【開発秘話】企業のコンプライアンスの課題を解決する“コンテンツ”と“システム”を両立させた『LexisNexis® ASONEコンプライアンス・サーベイ』を開発

17 June 2022 09:00

「自社のコンプライアンス体制は機能しているのか?」。「コンプライアンス施策の効果は出ているのか?」。そのような企業のお悩みや課題を解決するために、レクシスネクシス・ジャパンはコンプライアンス遵守のワンストッププラットフォーム『LexisNexis® ASONE』の新ツール『コンプライアンス・サーベイ』を2022年4 月11日にリリースしました。

自社のコンプライアンス状況を数値化し、客観的分析に活用可能できる画期的な同ツールの開発秘話を、製品開発に携わった神戸博之に聞きました。

プロフィール
神戸博之
レクシスネクシス・ジャパン株式会社
製品開発部シニア製品開発マネージャー

複数の大手外資系IT企業にて、組み込み系からエンタープライズまでさまざまなシステム・製品の開発に従事。2011年から当社に勤務し、『LexisNexis® ASONE』の製品開発担当として、各海外拠点のグローバル開発チームとともに製品開発を行う。

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サーベイの自動化と、自社のコンプライアンス状況の可視化を実現

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――新たにラウンチされた『LexisNexis® ASONEコンプライアンス・サーベイ(以下、ASONEコンプライアンス・サーベイ)』の特徴を教えてください。

『ASONEコンプライアンス・サーベイ』で実現できることとして、まず「コンプライアンスに関するサーベイの実施と、結果データ集計の自動化」があります。従来は自社で行う必要があった大変手間のかかる作業を自動的に行えます。

また、「サーベイの回答結果の可視化」ができるのも大きな特徴です。当社が長年の経験に基づいて想定したコンプライアンスの指標と回答結果を掛け合わせて、「どの項目に、どのようなリスクがあるか」を点数としてスコア化。それをもとに、自社のコンプライアンス状況の経年比較や、組織ごと・コンプライアンスカテゴリーごとの比較ができます。

さらに、他社や業界平均などの数値と比較して、自社の状況の良し悪しも一目でわかります。

それらに加えて、一般従業員向けに共通化されたコンプライアンス項目以外にも、「贈収賄」「競争法」「個人情報保護」など、さまざまな特定のコンプライアンステーマについてカバーできるサーベイもコンテンツとして提供しています。

企業法務の方々の“お悩み”を解決したい

――この新機能の開発に至った経緯は?

私たちが『LexisNexis® ASONE』というサービスの提供を始めて10年以上経ちます。「法令遵守やコンプライアンスを守らなければいけない」という時代背景を受けて、最初は企業法務やコンプライアンス担当の方々向けに、一般的な法令や判例の検索サービスからスタートしました。

そして、『ASONE法政策情報』『ASONEワークフロー』『業務規程コネクト』といった機能をはじめ、企業の弱点克服のためのトレーニングビデオなどの教育用資材の提供や、研修の実施など、多様な観点から企業のコンプライアンスに貢献するサービスへと発展してきています。

さまざまなサービスを展開するなかで、多くの企業の方とお話しする機会があって、皆さんが抱える“自社のコンプライアンスに関する課題”も知ることができました。

――どのような課題をお持ちだったのですか?

たとえば、一般的にコンプライアンスは“利益を生まない領域”と考えられているため、「社内の理解が薄くて、予算取りや人員配置がむずかしい状況が続いている」など、少ない社内リソースでコンプライアンス体制の構築に苦心していらっしゃるという状況が見えてきました。

また、社会状況の変化に伴って、異業種企業のM&Aやグローバル化による海外支社・子会社の増加などで「従来と同じコンプライアンス施策では対応できない」という声も多く聞かれました。

さらに、「コンプライアンスは面倒だ」という従業員の皆さんの意識や、現場の負担感の大きさも課題にあがっていました。

そのようなお悩みを10年以上にわたってお聞きして、「担当者の方の負担を軽減できて、より効果の出るコンプライアンスとは何だろう?」と常に考え続けてきたことが、開発のきっかけの一つです。

コンプライアンスのコンサルティングをシンプル化

――ほかにも、きっかけになったことがあるのですか?

はい。当社ではリサーチ&コンサルティング部が、お客様の会社規模や解決したい課題、リスクにあわせた、個別のコンプライアンス対策を提案するサービスを提供しています。そのサービスのプロセスにおいて「コンプライアンスに関するコンサルティングをシンプルにできないか」という想いがきっかけです。

リサーチ&コンサルティングの主なサービスの一つが、コンプライアンスに関する従業員意識調査で、その分析結果から「リスクは何か」「どのような施策を行うべきか」などを提案しています。

当社が総合的にサポートを行いますが、お客様側で行う作業の負担も少なくありません。ですから、「本当は実施したいけれども、必要な時間や費用の面でむずかしい」というお客様もいらっしゃいました。

それならば、当社がコンサルティングを通じて得た知見をもとに、「サーベイ内容を標準化したうえで、コンプライアンスのソリューションを提供できないか」と考えたのです。

具体的には、「個社用に設問項目をカスタマイズせず、コンプライアンスの状況を把握するために必要十分な設問に絞り、その結果からリスクを分析する」というシンプル化を考えました。

――シンプルになった分、時間も費用もかからないようにできるのですね。

そうです。さらに、「サーベイ結果が80点だから、リスクはないだろう」といった判断ができるように、コンプライアンスの状況を数値化できないかとも考えました。

数値化することで、たとえば「去年に比べて、自社全体や部門ごとのリスクが改善されてきている」といった推移もわかります。また、他社との比較なども、すべて数字を見ることで判断可能です。

自社の状況を定量化するための“必須項目”を設定

――コンプライアンスに関するサーベイや理解度テストのためのツールは、世の中にいろいろあると思いますが、『ASONEコンプライアンス・サーベイ』はどのような部分が異なるのですか?

最も大きな違いは、サーベイ結果を数値化することによって、自社のコンプライアンス状況を“定量化”できる点です。

定量化を実現するために、企業ごとに個別の設問を行うのではなく、包括的かつ普遍的なサーベイ項目にフォーカスしています。

お客様によっては「自社独自の内容も入れてほしい」というご要望もありますが、私たちは「まずは、どの企業でも、どのレベルの従業員の方でも共通している“最低限守らなければいけない”項目を見ることが大切だ」と考えています。

――最初に「自社が基礎的なコンプライアンスに対応できているか」ということを確認する必要があるということですね。

はい。「そのうえで、企業ごとのカルチャーを反映したサーベイを行うという“2段階構え”で考えましょう」というのが、当社の提案です。10年間以上、企業の方々とコンプライアンスについてお話ししてきて感じたのは、皆さん、手探り状態で対策を行っていらっしゃって、「これが自社のベストプラクティス」というものがなかなか見つからないんですね。

そして、当社が発行していた『BUSINESS LAW JOURNAL』で、企業の皆さんが一番興味を持っていらっしゃる記事を分析したところ、「どのようなコンプライアンスのテーマを設定し、どのように社内で展開するか」といった企画に大きい関心をお持ちだという結果が出ていました。

――それほど、コンプライアンスのテーマ設定を考えることは大変なのですね。

さらに、時間や労力をかけてコンプライアンスに一生懸命取り組んでいらっしゃっても「本当に効果が出ているのか」「独りよがりになっていないか」という疑問を担当者の方が持っているケースもよく見られました。

そのような状況でも何かしらの対策を行わなければいけないために、「コンプライアンス疲れ」してしまっている方もいらっしゃいました。ですから、まずはベースとなる“共通化された必須項目”を私たちが設定して、そこからスタートしていただくことが有効だろうと考えたのです。

設問内容とシステムの両立に苦労も

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――今回の開発にあたって、どのような点で苦労しましたか?

製品の性格として、“コンテンツ”と“システム”という2つの軸のバランスをとることがむずかしかったですね。

コンテンツとしては、「企業が最低限守るべきコンプライアンス領域をすべてカバーできるサーベイ設問を、どのように設定するか」ということを重視しました。

また、記入式サーベイの場合は、回答内容を読み解いて「これは、きちんと理解できているということか」といった判断をひとが行う必要があります。『ASONEコンプライアンス・サーベイ』では、すべての自動化を目指していましたので、その一手間を省ける適切な設問設定も求められました。

一方で、システム面では、「いかにサーベイの結果データを効率的に集計して、データ分析を行うか」ことが課題でした。そして、ひとが書いた文章を理解することが現在の技術ではむずかしいので、「どういうようなサーベイ結果が出れば、分析にかけられるのか」という点にも考慮しなければいけませんでした。

それらを両立させるために、コンテンツチームとシステムチームが密にディスカッションしながらシステム全体をつくり上げていくことに苦労しました。

――サーベイを受ける側としても、記入式の設問や大量の設問に回答することは大変だなと感じることがよくあります。どのように、設問を設定したのですか?

おっしゃる通り、数百もの設問に回答するのは大変ですし、定期的にサーベイに回答することも大きな負担になります。

ですから、『ASONEコンプライアンス・サーベイ』では最低限の設問に絞り込んでいます。そして、それらの設問と“各設問から想定できるコンプライアンス・リスク”を紐付けて、すべてのコンプライアンス領域を幅広くカバーできるようにしました。

たとえば、「ある質問に関する数値が非常に悪かった場合に、考えられる原因は何か?」といったことを、システム上である程度予測できるような設問内容になっています。

そのように設問のつくり方と結果分析するシステムの両面を調整し、“判断材料になる形”でアウトプットすることも、今回苦労した点です。

――私がいままで体験したサーベイでは、「どのようなことがわかったのか」ということがあまりよく理解できないことがありました。でも、『ASONEコンプライアンス・サーベイ』は自社内や他社との比較などがわかりやすい点が画期的だなと感じました。そのような「いままでなかったツール」をつくるうえでの工夫などを教えてください。

数値化されたものを“可視化”して、「どこにリスクがあるか」ということが一目見てわかるように工夫しています。

たとえば、サーベイ結果をグラフなどでビジュアライゼーションして、1つの画面内でさまざまな自社状況をわかりやすく表現できる仕様になっています。(図1)

今回の新機能は、企画からリリースまでの開発期間が通常よりも短かったのですが、その理由の1つにBIツールを導入したことがあります。BIツールが得意なビジュアライゼーションなどの表現方法や技術を有効活用することで、私たちはデータ処理などの開発に注力できました。

「自社外のツールと組み合わせて製品開発を行う」ということにチャレンジしたのは、当社としては初の試みでした。

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図1:コンプライアンス・サーベイメインダッシュボード

――私もこのサーベイを使ってみて、自分が答えたものが結果として可視化されると「この部分がどんどん良くなっている」といった変化が見えますし、「今後何をしなければいけないのか」という改善点をみんなで考えていけるので、「サーベイは面倒」というイメージが薄れました。

『ASONEコンプライアンス・サーベイ』は、言ってみれば“コンプライアンスの健康診断”的なものだと考えています。

「いまの自分の体の調子がどうなのか」ということが一目で理解できて、「半年前と比べてよくなった」ということがわかるだけでなく、「じゃぁ、もう少しがんばってみようか」といった励みになるという効果も期待できます。(図2)

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図2:社内平均スコアや全国平均スコアを時系列で表示し、特定の月の状況なども簡単に確認できる

データドリブンによる自社戦略にも有効――『ASONEコンプライアンス・サーベイ』は、企業の法務やコンプライアンス部門の方々の実務でどのように役立ちますか?

活用していただくメリットはいくつもありますが、1つ目は「自社のコンプライアンス状況の把握」です。

自分たちの会社の現状がよくわからないという場合に、「何ができていて、何ができていないか」「どれくらいできているのか」ということを客観的に把握して、コンプライアンス体制を構築するための最初のステップとしてご活用いただけます。

2つ目として、データに基づいて戦略を立案・実行する “データドリブン” をコンプライアンス施策に活用していただけるということが挙げられます。

コンプライアンスについて語る際、「利益を生まないことにどれだけの時間とコストをかけられるか」という話になることが珍しくないと思います。しかし、数値化された客観的データでROI(投資対効果)もきちんと示せることで、より効果的で説得力のあるコンプラ施策を打つことが可能になります。

――結果的に、生産性の向上など、経営全体にも好影響をもたらす可能性があるのですね。

はい。さらに、データに基づいた分析レポートを経営層に提示することによって、「現在、社内にはこのような課題があります。対策を打たないと、今後、リスクになり得ます」といった報告や、経営層への意識付けにも活用していただけるのではないでしょうか。

また、従業員の方に「よくわからないことをやらされている」という意識がある場合、「だって、あなたたちの部署は、他部署と比べてこんなに数値が悪いんですよ」など、数値を提示することで説得力をより高めることもできます。(図3)

コンプライアンスの状況をKPI(重要業績評価指標)に取り込んでいる企業や組織はまだ少ないと思いますが、数値化されると「どの部門が、どれくらい悪いか」ということが明確になりますから、管理職の方が現状を把握したうえで、コンプライアンスを積極的に意識しながら組織運営やビジネスを進めていくためにも役立つと考えています。

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図3:『グループごとのスコア』では、組織とコンプライアンスカテゴリーを掛け合わせたヒートマップ(色分けによる可視化グラフ)により、各組織のリスクの詳細を把握できる

さらなるコンプライアンス対応の自動化と、ワンストップソリューションを目指して

――『ASONEコンプライアンス・サーベイ』の開発を通じて得た経験や、今後の展開を教えてください。

BIを初めて使用して、より精度の高い分析をはじめ、いろいろな応用が利きそうだと感じました。

たとえば、今回は組織ごとの情報などとコンプライアンス・リスクを紐付けていますが、従業員の方々の勤続年数や雇用形態など細かい属性とリスク状況を紐付けた細かい分析もできると考えています。

また、お客様からも「自社で持っているデータとコンプライアンス・リスクの情報を掛け合わせて、別の視点で自社のリスク対策などに活かしていきたい」といったアイデアもいただいています。

――すでに、企業からの新たなニーズが出てきているんですね。

そうです。今回の開発で、より多角的で精度の高い分析ができる基礎ができたと考えていますので、それを今後活用してご要望にもお応えしていきたいと思います。

そして、今回はサーベイを用いてコンプライアンス・リスクを測定していますが、サーベイというものは、あくまでも各自が“主観的”に答えるものです。ですから、コンプライアンス・リスクを測定するうえで、より“客観的”な要素が必要だとも考えています。

たとえば、個人の行動履歴などに紐付くような視点を取り込めば、行動に基づく客観的要素を数値化して掛け合わせることで、より精度の高いリスク判定ができるようになると考えられます。

――そうなれば、サーベイだけでなく、企業の皆さんのコンプライアンスに関する取り組み全体にもさらに効果が期待できそうですね。

サーベイ結果をもとに、「どうやって、そのリスクを軽減させるか」「理解が足りていない分野に対して、従業員の方々にどのように理解していただくか」といった課題を解決する施策までができてこそ、適切なコンプライアンス状況を保てると私たちは考えています。

これはまだ先の話になりますが、『ASONEコンプライアンス・サーベイ』で「この組織・ひとは、この分野に関する意識がちょっと低いな」という結果が出たら、そのテーマについて「この動画の研修コンテンツを見てくださいね」と自動提案して理解を促進するようなシステムをつくりたいですね。

当社が持つコンプライアンス教育のためのトレーニング教材・研修などのコンテンツも活かして、課題解決まですべてを自動化して、ワンストップでコンプライアンスに関するサービスを提供できるシステムを実現したいと思います。

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