法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー

13 August 2021 09:00

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企業の社会的責務であるコーポレートガバナンス (企業統治)の重要性は、すでに社会的コンセンサスとなっています。しかしながら、現実には相変わらず企業の不祥事があとを絶ちません。ここ1、2年の間にも「品質偽装」「海外での贈賄」「電子決済での不正」「社員の横領」などが頻繁に起きています。それらの事件には複数の要因が絡み合っているケースが多いと思われます。会社ぐるみの違法行為は論外ですが、中にはコンプライアンス体制を確立しているはずの企業においても不祥事が発生している事実もあり事態は深刻です。かかる現状は、社内コンプライアンス体制が正常に機能していないことを裏付けているといってよいでしょう。

レクシスネクシス・ジャパンでは、現代の日本企業に必要不可欠とされる不祥事予防のための社内コンプライアンス体制確立のために「留意すべき事項」「予防策構築の視点」「不祥事要望の具体的メニュー」など、実効的方策について解説したホワイトペーパー『法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー』を上梓しました。

同書の著者は、西村あさひ法律事務所にて企業に対する不正防止体制への助言などで活躍されている沼田知之弁護士です。沼田先生は企業法務に詳しく「役員・従業員の不祥事対応の実務」などの著作がある危機管理・競争法対応のエキスパートです。本記事では『法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー』の概要について紹介します。

実効的な不祥事予防策とは

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コーポレートガバナンスを有効に機能させるには、企業の経営者をはじめとする経営陣の責務が重要です。コーポレートガバナンスの重要性については、日本取引所自主法人(JPX)が2016年2月に公表した「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」が参考になります。ここでは企業幹部らが遂行すべき職責として「6つのプリンシプル(原則)」が設定されています。この項目では、JPXが定めたプリンシプルも参考にしつつ、実効的な不祥事予防対策を講じるために、4つのポイントを掘り下げて解説しています。

事業リスクを踏まえた対策

有効なコーポレートガバナンスのために企業幹部は米国の「トレッドウェイ委員会支援組織委員会(COSO )」が公表した「不正リスク管理ガイド(COSOガイド )の理解が必要です。COSOは、米国で相次いだ企業の不正行為に起因する経営破綻問題に対処するために1985年に組織された機関で、1992年には内部統制の枠組みを規定した「COSOフレームワーク」を公表しています。そしてCOSOは、それまでの不正対応フレームワークに依拠した新たなガイドラインを2016年9月に公表しました。それがCOSOガイドです。

「法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー」では、COSOガイドを踏まえて日本の企業幹部がなすべき「リスクマッピング (リスク洗い出し作業)」や海外での贈賄対策などに言及しています。

不祥事の発生要因・発生条件を考慮した対策

世間に明るみになった企業の不祥事は、おそらく氷山の一角で実際にはその何倍もの不正行為が起きていると推察できるでしょう。「原因があって結果がある」という格言に照らせば、不祥事を発生させる根本原因を断ち切る必要があります。

企業における不祥事対策のために、例えば、公正取引委員会による2012年11月公表の「企業における独占禁止法コンプライアンスに関する取組状況について」などが公的機関から提言されています。また、不正行為を起こしてしまう人間の心理状態については、米国の犯罪学者ドナルド・R・クレッシー氏が行った受刑者に対する聞き取り調査結果を分析し、その後理論化された「クレッシーの三角形」と呼ばれる考え方も示唆に富んでいます。

「法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー」では、これらの提言や理論を参考にしながら、不祥事の発生要因・発生条件を考慮した予防策の構築方法について解説しています。

運用のフィージビリティ(実行可能性)

コーポレートガバナンスを確立するには、社内コンプライアンス体制を構築した以降に全社でその体制が有機的に機能しなければ意味がありません。多くの企業が自社のコンプライアンス体制を社会に公表しているにも関わらず、それが「絵に描いた餅」となっており、社員自体が単なる「お題目」に過ぎないと思っていることに不祥事が起きる病巣があるといえるでしょう。

「フィージビリティ 」という単語は、新規プロジェクトなどの実行可能性を示すビジネス用語ですが、コンプライアンス体制が有効に機能するかについても、同様にフィージビリティの観点が必要です。すなわち企業幹部や法務担当者は、自社のコンプライアンス体制が実際に社内の現場で理論に応じた役割を果たせるかどうかを事前にチェックするというフィージビリティチェックの作業が必要というわけです。

『法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー』では、社内コンプライアンス体制に求められるフージビリティの内容と手法について解説しています。

継続的な検証・改善

現代の企業社会では、不正アクセスによる内部データや顧客情報の漏洩に対するリスク管理の重要性が指摘されています。このように、企業を取り巻くリスクは時代と共に変化していくことから、不祥事対策の実効性を維持するためには、各企業の法務担当者は不祥事対策を継続的に検証・改善していく必要があります。そして、自社の不祥事防止体制が有効なものとなっているかを検証・改善する際には、「不祥事対策のチェックリスト」を活用することが有用です。

業務で使用しやすいチェックリストの実務的な内容について『法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー』に記載された解説が参考となるでしょう。

不祥事予防策を立案する際の視点

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不祥事を防止する対策を立案する際には、その予防策の「穴」を見つけて不正行為を働こうとする者がいることを前提にしなければなりません。そこでこの項目では、かかる不祥事予防策の構築にあたって心がけるべき視点ついて項目別に解説しています。

未然防止と早期発見

不祥事の防止には、不正行為をできるだけ早い段階で発見するという、いわゆる「悪の芽を摘む」ことが大切です。『法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー』には、JPXによる「不祥事予防プリンシプル」の原則4「不正の芽の察知と機敏な対処」とCOSOの「内部統制の統合的フレームワーク」や金融庁マネロンガイドラインにも採用されている「3つのディフェンスライン」について解説されています。

ハード的施策とソフト的施策

不祥事予防対策の有効性は、組織・制度・規定などのハード面の確立と同時に、社員の意識向上・風土作り・情報提供などのソフト面の重要性についても「法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー」で言及しています。

特定のリスク種別へのフォーカスおよび包括的・総合的対策

『法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー』が推奨する不祥事防止対策には、特定のリスクを種別に区分し、それぞれの特性に合わせた対策を講じることの重要性と有効性が述べられています。

2021年版・不祥事予防メニュー例

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企業法務の担当者ができるだけ早期に作成ができるよう、『法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー』のこの項目には「不祥事予防策のメニュー例(包括的・総合的施策)」を図表化して掲載しています。この図表をたたき台として、それぞれの企業の職種や業種により適合した体制構築実現のための参考材料となることでしょう。

まとめ

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コーポレートガバナンスの確立のために構築される社内コンプライアンス体制は、社員全員がその意味するものを深く理解して実行することがなにより大事です。そして企業幹部や法務担当者は、体制構築しただけで満足することなく、不祥事防止のプログラムが順調に機能しているかどうかを常にチェックし続けなければなりません。そしてなんらかの問題があれば速やかに修正・改善するという組織であるべきです。『法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー』こそ、社内コンプライアンス体制構築の有益なガイドブックとなることでしょう。

現在の体制に不備を感じている企業や、これから体制作りを行う企業の経営幹部または法務担当者のために上梓された同書は、ダウンロードしてすぐに読むことができます。この機会にぜひ熟読してみてください。

注釈:「法務担当者が知っておくべき不祥事予防のメニュー」はLexisNexisビジネスロー・ジャーナル2021年1月号に掲載された連載記事です。解説の内容は掲載時点の情報です。

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