【アジア法務の思考回路】契約リスク発見のコツ

20 Aug 2021 9:00 am

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自社のマーケットを世界各国に広げる際には、どうしても欧米諸国ばかりに眼が行きがちですが、日本企業が主戦場とする市場はアジア諸国であるケースが多いのです。アジアの国々を交渉相手とする場合には「欧米とは違って同じアジアの国だから」という甘い考えは通用しません。一口にアジアといっても、言語も文化も風習も商習慣も異なる多くの国々があり、それらの国では日本人が想像もできない価値観でビジネスが行われているからです。

アジア各国とのビジネスにおけるリスクを回避し、安全な形で自社の業績向上を目指す企業人のために、レクシスネクシス・ジャパンでは【アジア法務の思考回路】と題した連載をスタートさせました。その第1回『契約リスク発見のコツ』では、アジアビジネスにおける契約実務などで起きやすい重要なケースについて内容の分析と共に詳しく解説されています。

同連載記事の著者は、AsiaWise 法律事務所の代表である久保光太郎弁護士です。久保弁護士は、2012年から4年間「西村あさひ法律事務所シンガポール事務所」共同代表を務められ、その後2018年にアジアのクロスボーダー案件に特化すべく「AsiaWise Group」を創業された、正にアジアビジネスにおける契約実務のエキスパートでもあります。

Ⅰ.アジアビジネスにおける契約実務のエッセンス

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アジアでのビジネスを進める上で重要なのは、アジア各国がビジネス上の契約実務に関してどのような意識で臨んでいるのか、日本との違いを事前に把握しておくことです。ところがこれまでは、国家単体での「〇〇国の契約法」という専門書はありましたが、アジア全体の契約実務に関する解説書はみかけることがなかったと著者は回顧しています。

『【アジア法務の思考回路】契約リスク発見のコツ』は、各国間のビジネス契約におけるアジア特有のエッセンスを見出す内容です。

Ⅱ.アジアの特殊性という視点から考える

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アジア諸国とのビジネスでは、各国間における用語や言い回しなどの齟齬を防ぐために、契約書には国際共通言語としての英語が用いられることが一般的になっています。したがって、英語が堪能であれば契約上のトラブルは回避できると思われがちですが、実際にはそれほど単純ではないというのが現実です。アジア諸国とのビジネスを円滑に進めるためには、アジアの特殊性を考える必要があります。

同書では、著者が経験した国際間の契約上のトラブルがなぜ生じたのか、問題の本質を感じ取る経緯が語られています。

Ⅲ.ケーススタディの検討

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この項目では、契約書における留意点として「アジアの契約実務における重要ポイント」や「主なコンプライアンス問題に対する契約書上のツール」が図表で示されている点が特徴です。問題回避のための具体的な予防策は大いに参考になることでしょう。

『契約リスク発見のコツ』では、著者の豊富な経験を基に、各国間のビジネスの現場で実際に起こり得るトラブルの中で、特に重要と思われる事象を3つ選び、それらを「ケーススタディ」として内容を紹介し、対応策などを解説しています。

CASE STUDY 1

本書で紹介された「ケーススタディ1」は、ある日本企業とアジア某国の某企業との間に起きた契約に関するトラブルが紹介されています。日本では「こんなことは常識だろう」と思える事柄であっても、契約書に細かく規定されていなければトラブルの要因となりうるのです。

1.契約目的の特定

「ケーススタディ1」で紹介された事例について、著者は図表を示した上で、このトラブルの法務上の重要ポイントを指摘しています。現実に起こりやすい事例なので、特に製造業でアジア諸国に製品製造を依頼する現場責任者にとっては大いに参考となる予防策と契約書の作成事例などが紹介された内容です。

CASE STUDY 2

「ケーススタディ2」では、日本企業とアジア某国の企業との代理店契約をめぐるトラブルが記述されています。アジア随一の先進国である日本の企業と代理店契約を締結し継続して業務ができるか否かは、日本人が想像する以上に、アジア各国の諸企業にとって重大な問題だということがよく理解できる事例といえるでしょう。

2.契約の終了条件

代理店契約をめぐる「ケーススタディ2」として、代理店契約の終了条件について、トラブル回避のための方策が詳しく解説されています。代理店契約に関しての「独占」と「準独占」との違いとその解釈の相違点について、実際に起きた事例を元に予防策について詳述されているので大いに参考になるでしょう。

CASE STUDY 3

「ケーススタディ3」では、コンプライアンスに関する問題が顕著に表出した案件として4つの実例を紹介した内容です。企業のコンプライアンス体制については、年を追うごとに世間からの眼が厳しさを増してきています。そして、アジア諸国とのビジネスの現場においても国家間の認識の違いによるコンプライアンスに関する問題が発生しているのです。

3.コンプライアンスに関する条項

EU諸国や米国では、コンプライアンス体制に関する意識はほぼ統一されており、各国間の意思統一を図る公的組織が機能しています。したがって、日本企業はそれに準じた対応をとることでコンプランス上のトラブル発生が抑制されるという構図です。ところが、欧米先進国とは異なり、アジア諸国では官民ともにまだコンプランス意識が低い国が多く、さまざまな問題が生じています。

Ⅳ.リスクの発見方法に関する若干のアドバイス

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【アジア法務の思考回路】の連載第1回『契約リスク発見のコツ』においては、日本企業とアジア企業とのトラブルについて、実際に経験した著者による対応策が具体的に述べられています。もちろんトラブルが発生した後の対処法も重要ですが、アジア諸国とのビジネスの現場で働く人々、特に管理責任者にとっては「トラブル発生を未然に防ぐこと」が最重要課題といえるでしょう。

同書では、現場管理者が契約上のリスクを事前に発見する方法と、リスクヘッジの具体策について的確にアドバイスされています。それらの方法のほとんどが現場での実務に裏打ちされた経験値を基に述べられているので、アジア諸国相手のビジネスでは力強い手引書となることでしょう。

まとめ

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グローバル社会が加速しつつある現代。これまで日本国内のみを市場としていた企業も、さらなる業績向上を目指し、海外に市場拡大の矛先を向けていくことになるでしょう。

日本はアジアのリーダー国を自認するだけに、欧米諸国を相手に交渉するよりも、アジア諸国ならビジネスの対象として組みやすいだろうという考えは全くの間違いです。むしろ欧米よりもアジア諸国の方が思わぬリスクが起きやすいという現実を現場責任者は深く理解しておく必要があります。

欧州の国々がEUという政治経済同盟としてまとまっているのに対し、アジア諸国は国家間での文化や言語、習俗などに大きな隔たりがあり、それはビジネスの世界においても同様です。したがって、アジア国家はそれぞれ別々の価値観でビジネスを行っていると考えるのが無難でしょう。そして、アジア市場でビジネスをするのなら、ビジネス上で起こり得るリスクをあらかじめ認識し、その予防策を立てておくことが大切です。

レクシスネクシス・ジャパン編纂による連載記事『【アジア法務の思考回路】契約リスク発見のコツ』のPDF版では、これからアジア市場に打って出る企業および現在アジアビジネスを展開中の企業も含めて、アジア諸国とのビジネスで大きな失敗を起こさないためのリスクヘッジ方策が分かりやすく解説されています。

インターネット経由で簡単に入手できる同書の連載シリーズは、アジアビジネスでの心強い必携の書となることでしょう。

注釈:「【アジア法務の思考回路】契約リスク発見のコツ」はLexisNexisビジネスロー・ジャーナル2020年5月号に掲載された連載記事です。解説の内容は掲載時点の情報です。

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