【アジア法務の思考回路シリーズ】「アフター・コロナ」のコンプライアンス2.0

15 Oct 2021 9:00 am

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2020年初頭から全世界を震撼させた「新型コロナウィルス(COVID-19)」は、2021年になっても世界中で猛威をふるい続けています。今後は、ワクチン接種が広まるにつれて次第に収束に向かうことを願うばかりです。新型コロナウィルスのまん延は単に感染症の恐怖だけでなく、各国の経済に深刻な打撃を与えました。感染症拡大の終息を意味する「アフター・コロナ」の際に、疲弊した国の経済をどう立て直すかが日本のみならず世界各国の最優先課題となることでしょう。コロナ禍での副産物として、リモートワークを推進する企業が増えました。これによりリモートワークのオンライン・コミュニケーションツールの利用に拍車がかかり、同時に労務管理や情報セキュリティの問題も指摘されています。そしてアジア諸国でのコロナ・ショックのリスクはどのようなものなのか、アジア諸国とのビジネスを展開する日本企業は、アフター・コロナにおいてどのように対峙すべきか、問題は山積しています。

レクシスネクシス・ジャパンでは『アジア法務の思考回路』シリーズの一遍として『「アフター・コロナ」のコンプライアンス』と題するホワイトペーパーを刊行しました。著者は「AsiaWise 法律事務所」の代表弁護士として活躍されている久保光太郎弁護士と、同事務所所属の横山雄平弁護士というアジア法務に詳しいエキスパートのお二方です。同書は近未来小説風のケーススタディ形式で、アジアでのコンプライアンス・リスクの発現形態が描写され、問題の本質とリスク回避法についてわかりやすく解説されています。

Ⅰ. 情報遮断回避のためのデータ、システムの活用

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コロナ禍によって、アジア諸国での業務の中でも重要な情報が遮断されることが懸念されます。このリスクを防ぐためのデジタル・データとシステムの活用法などについて、『「アフター・コロナ」のコンプライアンス』では、想定されるケーススタディ方式で解説されています。

CASE STUDY 1

コロナ禍が長期化する中、アジアの某国に駐在する社員が同国内に残ったまま日本への帰国ができない状況が続いているというケースを想定。現地の生の情報が入ってこない状況下で、日本本社の法務・コンプライアンス部門の担当者は何をなすべきか、という問題が提起されています。

1.重要性を増すデジタル・データの活用

経済産業省は2018年公表の「DX(デジタル・トランスフォーメーション)ガイドライン」にて「企業がビジネス環境の激しい変化に対応DXデータとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と、DXを定義しました。

アジアに活動拠点を持つ日本企業にとって、これまで法務・コンプライアンス部門とは親和性が低いとみられていたDXが「アフター・コロナ」の状況下において重要性を増すと想定できます。

『「アフター・コロナ」のコンプライアンス』では「コロナ・ショックで変わるコンプライアンス体制」と題する図表を用いて、今後DXがどのように企業の法務・コンプライアンス部門に関わってくるのかが解説されており、担当者にとって必読の内容です。

2.インシデント事例の収集

ビジネス社会では「インシデント」と「アクシデント」という概念があります。一般的に「インシデント」は「事件・ミス」、「アクシデント」は「事故」と訳されるのが通例です。すなわちまだ事故にまで至っていない状態で起きたミスをインシデントと呼び、企業はインシデント事例を正確に把握して対応することがアクシデント発生の予防策となり得ます。

『「アフター・コロナ」のコンプライアンス』では「CASE STUDY 1」におけるインシデント事例の収集作業の重要性に言及されているので、現地で不測の事態に遭遇した法務・コンプライアンス部門の担当者にとってはいざという時に有効なヒントとなることでしょう。

3.内部通報制度の活用

アジア新興国とのビジネスを展開する上でのコンプライアンス体制を強固にするためには「内部通報制度」の導入が有効とされています。ただ、内部通報制度を活用している日本の企業は少数で、制度を導入していてもそれが活用されているとは言い難い現状です。

『「アフター・コロナ」のコンプライアンス』では社内外からできるだけ広く情報を取得するためのツールとしての「内部通報制度」の重要性や成果の活用についても紹介されています。

Ⅱ.コンプライアンス体制の維持と効率化

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アジア新興国を相手とするビジネスで「コンプライアンス体制をいかに維持しながら効率化を図っていくか」という点は、法務・コンプライアンス部門の担当者にとっての悩ましい重要課題といってよいでしょう。

『「アフター・コロナ」のコンプライアンス』では、想定されるケーススタディ方式でこの問題にメス入れています。

CASE STUDY 2

アジアの某国で現地従業員の不正行為が発覚したと想定するケース。コロナ不況下による人員削減とコストカットが不正事件の遠因と考えられる場合に、日本企業の法務・コンプライアンス部門の担当者はどのように対処すべきか、あるいはこれらの事態を未然に防ぐにはどうすべきか、という問題提起がされています。

1.ルールの整備より実例の分析を

コンプライアンス制度の構築には、社内でのルールを明確化することが重要といわれています。実際にその通りなのですが、ルールの整備よりも優先して実行しなければならないのが、過去に発生した実例を詳細に検証し、内容を分析することです。

現実に「ビフォー・コロナ」の時代でも充分に機能していたとはいえないコンプライアンス体制では「アフター・コロナ」となり予想外の不祥事が起きる可能性が高いといえるでしょう。

『「アフター・コロナ」のコンプライアンス』では、これからのコンプライアンス体制に必要な実例の分析について解説されています。

2.牽制機能の充実を図る

不正行為の防止に有効な手段として「牽制機能」を充実させる方策があります。限られた予算・リソースの中では、コンプライアンスに関して最大限の成果を目指すためには、「不正行為はすぐに発覚する上に、発覚すれば自分が窮地に陥る」という心理的プレッシャーを与えることが効果的です。

『「アフター・コロナ」のコンプライアンス』には、「CASE STUDY 2」のような不正行為を防止する牽制機能を確立させる重要性について解説されています。

3.有事に備える

一般社会で「有事」といえば他国と戦争状態に入ることを示します。アジア新興国を相手にビジネスを展開する日本企業にとっての有事とは、当該国で不正や不祥事が起き、それが場合によっては日本本社の経営を揺るがしかねない事態に及んでしまう事態のことです。

『「アフター・コロナ」のコンプライアンス』では、本社から眼が行き届かない外国で発生する不測の事態を有事にたとえて論じられています。そしてその有事のリスクをいかに回避するかという課題のヒントとなることでしょう。

まとめ

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足掛け2年に亘って続くコロナ禍は、世界経済に深刻な影を落としています。今後、世界経済が復興するには各国が足並み揃え知恵を絞って「アフター・コロナ」の時代を乗り越えることが急務です。欧米諸国に比べ、コンプライアンス意識が充分に醸成されていないアジア新興国とのビジネスを展開する日本企業としては、来るべき「アフター・コロナ」の時代に備え、今のうちから、あらゆるケースを想定して対策を講じておく必要があるでしょう。

『アジア法務の思考回路』シリーズの『「アフター・コロナ」のコンプライアンス』は、インターネットでアクセスし簡単にダウンロードできるホワイトペーパーです。アジアを市場とするグローバル企業の法務・コンプライアンス部門の担当者にとって、同書の全ての項目が必読の内容となっています。この機会にぜひご一読ください。

注釈:「【アジア法務の思考回路】「アフター・コロナ」のコンプライアンス」はLexisNexisビジネスロー・ジャーナル2020年7月号に掲載された連載記事です。解説の内容は掲載時点の情報です。

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